2012年12月31日

Cilostazol(プレタール)とClopidogrel(プラビックス) : 当院での比較検討(5)

Cilostazol(プレタール)   76.9%
Clopidogrel(プラビックス) 38.4%

この2つの数字は、頸部エコーによる頚動脈の「IMTの増加が認められなかった」比率です。
0.1mmの世界で議論してよいなら、この結果は真摯に受け止めなければなりません。
日常診療では、IMTが不変のもの、増加のもの、減少のものが、どちらの薬に偏るということもなく(どっちの薬も似たり寄ったりだなあ)と思うくらいで、あまりにもIMTやプラークが増大している人には、プレタールからプラビックスへ、あるいはプラビックスからプレタールへと薬を変更していた程度でした。
ところが、上記の数値は「プレタールには頸動脈の動脈硬化による血管壁の変化を改善してくれる作用もある」ということを物語っているのです。これは予想外でした。
こうなると、コンマ1ミリの世界が大きい小さいという話ではなく、一介の町医者としては、「(たとえわずかでも)動脈硬化を改善してくれる作用があるならその薬の方を優先する」という心理が働くじゃないですか・・・

さて・・・本当に今回の検討結果を鵜呑みにしてしまってもよいのでしょうか?最初にお話ししたように、僕は、(プレタールって閉塞性動脈硬化症の薬だったのが脳梗塞再発予防の効能追加がされただけの、おまけ的な薬)と思っている医者です。そう簡単には折れませんよ。
(プレタール服用者の、総数も頚部エコー実施者の数も少なすぎるし、血液濃縮、高血圧、糖尿病、高脂血症などのさまざまな患者背景の有無についても一切解析されていないじゃないか・・・)
(そういうなら、そこも自分で検討してみたらいいじゃないか・・・)
(ええっ?数を増やすくらいならできると思うけど・・・多変量解析はいや、絶対いや)
(じゃあ、とりあえず、「こんないい加減な結果ですが、誰か興味ありませんか」って記事を投稿してみるか?)
ということになりました、とさ。

いかがでしょうか?
posted by 極楽とんぼ at 13:32| Comment(0) | TrackBack(0) | 医学・健康

2012年12月30日

Cilostazol(プレタール)とClopidogrel(プラビックス) : 当院での比較検討(4)

2012年10月末までの1年間に継続して 
   Cilostazol(プレタール)服用例     51例
   Clopidogrel(プラビックス)服用例  148例
どちらもCで始まり、どちらも「プ」で始まる・・・わかりづらくてすみません。
プレタール:プラビックス=1:3 になってるのがお分かりでしょうか?
とりあえずこのグループでこれからのお話を進めていきます。
男性と女性の内訳? ・・・調べてません
合併症(糖尿病,高脂血症など)の有無? ・・・考慮してません
最初にこれは学会向け論文ではないとお伝えしたでしょう?
多変量解析は面倒くさいからしていないんです。
それに、思いつきのretrospective study(後ろ向き研究)的なものですから、症例数も偏っています。

この中で、頚動脈エコーでIMT(IMTとは、"Intima Media Thickness"の略で頸動脈の「内膜中膜複合体厚(単位はmm)」を意味します、これで動脈硬化による内膜肥厚がどの程度かを推し量るのです)を測定した症例の、過去1または2年前の数値と今年の数値を比較しました。しかし・・・
内頚動脈でのエコーは解剖学的位置が高い人も多く計測困難な例が多いようで測定値を比較することが困難です。それでも総頚動脈-内頚動脈の分岐部は必死で検索してくれた(臨床検査技師君ありがとう)ようなので、総頚動脈(分岐部を含む)での計測値を参考にすることにしました。

プレタールを1日200mg(100mg2回)服用している患者さん51名中頚動脈エコーを2回以上検査している人は26名でした。早速この26名(26/51=51.0%)のエコーを片っ端から見ていきます。
たとえば・・・
スライド1.GIF頸動脈をこのように縦断面にする方が僕は血管をイメージしやすいのですが、エコーというのはいわば動画ですので、拍動している動脈の輪郭をとらえるには横断面の方が分かりやすいようです。そのため、IMTやプラークの比較は次のスライドのように横断面のエコーで行っています。
スライド2.GIFちなみに、この症例はどちらもIMTが3.0oで、変化を認めなかったということになります。



スライド3.GIF次のこの症例は、IMTが1.6oから1.7oに、わずか0.1oではありますが、増加したことになります。




スライド4.GIFこの症例の場合は、IMTが3.0oから2.9oに減少しています。





スライド5.GIFこの症例の場合も、IMTは2.0oから1.6oに減少しているようです。




こうして、プレタール服用者の頸動脈エコーの結果は

  頸部エコーを2回以上行っている人   26名中
  IMTの増加が疑われた人          5名(19.2%)
  IMTの変化がなかった人        14名(53.8%)
  IMTの減少と判断した人      6名(23.1%)
判定保留               1名(3.8%)

となりました。

こうなると、プラビックス服用者の場合の頸動脈のIMTの変化はどうなのだろうと気になるのが人情というものです。
そうは言うものの、プラビックス服用者の数は148名だというし・・・頚部エコーを行っている人の数も当然多いんだろうと思うと・・・。
いやいや、ここで止めてしまったらただただ時間を無駄にしただけになる・・・ということで、続きを読む
posted by 極楽とんぼ at 19:12| Comment(0) | TrackBack(0) | 医学・健康

Cilostazol(プレタール)とClopidogrel(プラビックス) : 当院での比較検討(3)

プレタールには頸動脈病変の改善効果がある・・・
主に下肢の閉塞性動脈硬化症に適応のある血管拡張剤は、頚動脈も拡張させるだろうというのは20年以上も前から考えていたことでした。でも、その結果脳血流も増加してくれるのかどうか・・・それは疑問でしたし、それについて言及している脳神経外科医もいませんでした。ただ明らかに予想されたことは、外頚動脈は拡張するだろうから、片頭痛のような人は頭痛が起こりやすくなるだろうということでした。(案の定、プレタール服用時の頭痛は問題になったのですが。)
しかし、プレタールには血管拡張作用や血小板凝集抑制作用以外に、血管内皮細胞の修復や血管平滑筋細胞増殖抑制などの作用がありそのために内膜肥厚やプラークの退縮が期待される・・・というのなら、あのMRくんのためにも、自分のためにも、確かめてみてもいいんじゃないか(どうせ、無駄に終わるだろうけど)と思い立ったのが、今年の10月です。

僕は自称「総合診療医」、動脈硬化ひいては血管障害につながる高血圧、糖尿病、高脂血症、などには目を光らせているつもりですから、早くから頚動脈エコーは定期的にフォローアップを行ってきました。もちろん必要と思われる患者さんに、です。幸い、当院には、長年検査に携わってきた熟練の優秀な臨床検査技師がいて、頚動脈エコーは同じ技師の検査によって経年変化を捉えることができています。

日常診療の中で見てきた頸部エコーの結果には、特別な傾向はなかったように思うのですが・・・
ま、結果は期待しないで見直してみることにしました。
posted by 極楽とんぼ at 11:16| Comment(0) | TrackBack(0) | 医学・健康