2011年10月10日

わかりやすい頭痛の話 各論3 群発頭痛

今回は、一次性頭痛(良性)の代表的な頭痛、その中の群発頭痛についてです。
頭痛は全体的にみても女性に多いということになっていますが、中でも女性に多いのは片頭痛です。
これからお話しする群発頭痛は、めずらしく男性に圧倒的に多い頭痛です。圧倒的に多いと言っても、そもそも群発頭痛自体が頭痛全体の中で占める割合は極めて低いので、「頭痛は女性に多い」という位置づけは変わりません。

群発頭痛は、20〜40歳の男性に多くみられる頭痛発作です。
発作ですから、突然に起こる・何度も繰り返す・持続時間は短い、頭痛ですが、この頭痛発作の繰り返しがいつまでも続くところが片頭痛と大きく違うところです。
激痛です。(ウソではありません。鉄工所の社長が泣いて来ました。)
いったいどのくらい続くのかというと、数ヶ月単位です。ワンシーズンという方もおられます。
しかも、ある日突然頭痛はしなくなったかと思うと、それが1,2年(もっと長い人もいます)、何の音沙汰もなく過ぎるのです。
この繰り返しです。
老人にはあまり見かけない頭痛です。
ほかに、
睡眠中に起こりやすい、
明け方の痛みで目をさますことが多い、
発作中、頭痛の側の眼が充血したり、涙が出たり、鼻が詰まったり、鼻汁が出たり、顔に汗をかいたり、まぶたがさがったり、脹れたりする、
片頭痛と違って吐き気や嘔吐はあまりない、
などの特徴があります。

鉄工所の社長が泣いて来たっていわれても、イメージがわかないって? そうですよね。
じゃあ、あなたに少しリラックスしていただくために、ここで一息入れて、鉄工所の社長のお話をしましょうか?

 Aさんは、50代の非常にエネルギッシュな男性です。大きな鉄工所の社長で、商工会議所の重鎮でもあります。自分の工場を拡大し、海外出張だ、さらにはお付き合いのゴルフだ、と多忙を極めておりましたが、ある日、「市販のどんな薬を飲んでも頭痛が止まらない」といって飛び込んできました。
彼の頭痛は朝から始まります。明け方頭をかきむしるような頭痛で目が覚めて、頭痛薬を飲んでも大して痛みは軽くなりません。あまりの突然の痛みに「頭の中に何か起こったのでは」と心配になり救急病院に行って薬をもらい、しばらく続けましたがそれも効果がありません。数時間で頭痛は止まりますが、薬が効いたという感じではなく、そのあとも風邪をひいたようなどんよりした感じが続き、また頭痛が始まります。
何日もこんな頭痛が続いては仕事にならないと脳外科を受診し、「群発頭痛」と診断されました。最初のころはエルゴタミンを服用しておりましたが、大した効果はありませんでした。コントロールが困難な片頭痛や群発頭痛の治療で気をつけなければならないのは、ソセゴン依存症にしないことです。夜間の救急診療などではどうしても安易な手段を選びがちになりますが、頭痛発作は繰り返すといっても一度は止まるのですから。あるときAさんは、「酸素を吸うと楽になりますよ」と言われ、処置室で酸素を吸わされて帰宅しました。これは神の恵みでした。なぜなら、Aさんは鉄工所の社長、酸素なら作業所にたくさんあります。それ以来、工場の酸素は群発頭痛の改善用に供せられたのです。
 Aさんは幸運といえば幸運だったかもしれません。作業に使う酸素は純酸素です、市販の携帯用の酸素ごときでは頭痛は緩和しなかったでしょうから。でも、酸素で群発頭痛が遠のくわけではありません。「こんなに頻繁に純酸素を吸っていても体に害はないのか」と心配になりました。酸素を吸っていれば頭痛が襲ってこないと勘違いしていたようです。
 幸い彼もイミグランという薬に出会います。イミグランは群発頭痛の特効薬のように言われていますが、患者さんにとってはそうでもないようです。でも、ないよりはずっと良いというところでしょうか。副作用もありますし。
 彼の場合、2001年、2003年、2005年、2006年、2009年と頭痛発作で悩まされたようですが、それから(?)は音沙汰がありません・・・。
最後の頭痛からまだ2年しか経ってないって?
でも、彼ももう65歳を過ぎましたから、群発頭痛は少なくなるんじゃないでしょうか・・・。
 あ、そうそう、一つだけもしかしてと思ったことがあるのでお伝えしておきますね。2001年に初めて彼を診察したのですが、そのとき、「睡眠時無呼吸といわれて手術を受けたが効果はなかった」と言ってましたが、もしかしたら、頭痛発作の時に鼻が詰まるので、耳鼻科的な問題で頭痛が起こるのではないかと思った(思われた?)のでしょうね。無駄な手術だったかもしれません。

麻酔薬(ソセゴンもその一つです)のことを調べていたら、面白い記事を見つけました。群発頭痛の方には耳寄りなお話です。

『リドカインという局所麻酔薬を点鼻すると群発頭痛が楽になります。
薬局で買える鼻炎用の点鼻薬に、なんとこのリドカインが含まれているものがあります。
たとえば「ベンザALスプレー」・・・
リドカインは、鼻炎症状に伴う鼻の不快感を鎮めるため配合されています。・・・
リドカインの効果は群発頭痛信号を伝える鼻の奥の神経節を麻酔することによりあらわれます。
全例に有効というわけではありません。
効く場合は数分で効果があらわれます。
あお向け、頭を過伸展、頭を頭痛側に回転してスプレーします。
医家では2〜4%の濃度のものを使います。市販薬のは薄いので安全性は高いと思われます。
本製品は季節商品のため、秋口には置いてない店が多いです。
●「ベンザALスプレー」は製造中止だそうです。
「ベンザALスプレー」を改良した『ベンザ鼻炎薬α(アルファ)スプレータイプ』は
リドカイン含有量5mg/1mL(0.5%)で「ベンザALスプレー」と同等です。・・・
チミコデ鼻炎スプレー(三菱ウェルファーマ)というのもあります。』



次は・・・片頭痛で脳梗塞になった症例をご紹介しましょう。
片頭痛は良性頭痛といわれるのに? ・・・ はい、「頭痛、侮るなかれ」です。 3つの代表的な慢性頭痛をご紹介しました。どれもつらい頭痛ですが、良性と分類される頭痛です。良性という意味は、頭痛の程度ではなく、頭や脳の疾患を心配しなくても良いという意味です。良性であっても、悪性のものよりも辛い頭痛もあるわけです。
 さて、これ以外にも一次性頭痛といわれる頭痛があります。その多くは慢性というよりも特殊な状況下で起こる一過性の頭痛です。
 穿刺様頭痛
 咳漱性(がいそうせい)頭痛
 労作性頭痛
 性行為に伴う頭痛
 睡眠時頭痛
 雷鳴頭痛
これらは、最初から一次性頭痛と片付けられるものばかりではありませんので医者に相談に行ったほうが無難です。どうして起こるのかもそのときに質問してみてください。(答えは千差万別???)

どうですか? あ、私の頭痛はきっとこれね、と思われた方も多いのではないでしょうか?
そんな風にお役に立てたなら、私自身が頭痛と奮闘した甲斐もあったというものです。緊張型頭痛と。


頭痛の最後はやっぱりこれで締めくくらざるを得ません。それが私たち医療者の使命ですから。

「はっきり申し上げて、頭痛の程度だけで、一時性か二次性かを判別するのは難しいことです。
日常見かける頭痛は決して少なくはありませんが、その中で見つける二次性頭痛も反対にそう多くはありません。
辛い頭痛に耐えしのんでいたり、検査の結果を恐れて頭痛を我慢していたりするよりも、一度は自分の頭痛について正しい診断を受けてみることをお勧めします。」
そして「いつもと違う頭痛」「この歳まで頭痛とは縁がなかった自分なのにおかしい」と感じたら必ず診察を受けましょう。
posted by 極楽とんぼ at 22:35| Comment(0) | TrackBack(0) | 医学・健康
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