2010年07月09日

脳卒中は減ったのか? (1)脳出血は減ったのか?

ここに載せる記事は、学会論文ではありません。
あくまでも、病気や健康に関心のある一般の人が読んでわかりやすい内容にしようと努めて書いたものです。
ですから、私以上に医学や健康に詳しい方は読んでも役に立たないと思って差し支えありません。・・・念のため。

さて、脳卒中は減ったのかというテーマですが、脳卒中と脳出血は違うのかとか、脳卒中と脳梗塞はどう違うかと思っていらっしゃる方がわりと多いようです。そもそも脳卒中というのがわかりづらいのでしょう。
脳卒中の「卒中」というのは、語源についての講釈は(いつもこの話で始まるので私自身は少々飽きてしまいました)やめて簡単に言うと、突然倒れることだと思ってください。つまり、脳卒中というのは、脳の病気で突然倒れることです。
じゃあ、突然倒れる脳の病気とは・・・?
それが、脳出血、脳梗塞、くも膜下出血、だというのです。

この3つの脳の病気には、ある共通点があります。
それは、脳の病気というよりも、脳の血管の病気だという点です。
たとえば、脳出血、これは脳の動脈が切れて(破れて)出血して脳を壊す病気ですし、
脳梗塞は、脳の動脈が詰まって(塞がって)血流が止まって脳を壊死させる病気ですし、 
くも膜下出血は、動脈にできた血管の膨らみ(こぶ=脳動脈瘤)が風船の破裂のように破裂して、噴き出した血液で脳が圧迫される病気です。

脳出血とくも膜下出血はどちらも出血ですが、違うところは、脳出血は脳の中に入り込んでいる細い動脈からの出血であり、くも膜下出血は脳の表面、多くは脳の底面に広がる動脈にある瘤からの出血だという点です。

ここで次のような疑問を感じる方がいらっしゃると思います。
病院に行ったら脳梗塞だといわれて入院したけど症状は軽かった、風邪の頭痛かと思って病院で診てもらったらくも膜下出血といわれて手術をした、・・・こんな軽い症状でも脳卒中というのですか?

ここが、「脳卒中は減ったのか?」というテーマに関わってくるのです。

日本の死因統計の第1位は悪性腫瘍、つまり癌です。
続いて、第2位は心疾患、第3位が脳血管疾患、そして第4位は肺炎となっています。
2位の心疾患とは主に心筋梗塞、3位の脳血管疾患とは主に脳卒中ということになります。
そして、この脳卒中による死亡率は、以前は第2位だったわけですから、「脳卒中は減った」と言われたり、「いや、減ったのは、脳卒中で死ぬことが減っただけだ」と言われる所以です。

私は、脳卒中はやはり「減った」と思います。少なくとも、卒中といわれるような、意識が悪くて救急車で搬送されるような脳血管疾患は減ったと思うのです。その多くは脳出血でした。脳出血は血圧の管理がよくなってから、ずいぶんと減りました。それは死亡率のみならず、発症率も激減したのです。その一方で、脳梗塞の発症率は増えましたが、本来、脳梗塞は意識が悪くて搬送されることは多くありません。つまりは、脳梗塞で死に至るケースは多くないということです。
言ってみれば、「脳卒中死は減ったが、脳卒中は増えている」ということでしょうか。なんだかややこしいですが、「卒中で死亡する脳血管疾患は減ったけれど、卒中になるといわれる脳血管疾患そのものは減ってはいない、むしろ増えている、」ということです。
脳卒中という「状態」をイメージした表現は現代にはふさわしくないのだと思います。この先脳卒中という言葉を自ら使うことはやめましょう。耳学問として知っている程度で良しとしましょう。そして、脳出血も脳梗塞もクモ膜下出血も脳血管の病気、だから脳血管障害(脳血管疾患)と呼ぶことにしましょう。(『脳卒中治療ガイドライン』なるものが作成されているまさにこの時代に、このような大胆な発言は大ひんしゅくものかもしれませんね。)

脳血管疾患の中で最も死亡率の高かった脳出血が減った結果、脳血管疾患の死亡順位が心疾患と入れ替わり、3位になったというわけです。

脳出血、正確にいうと脳内出血ということでしょうか?
これは、非常に細い脳内の動脈(0.3mm前後とか)が破れて出血するものです。脳出血が減った昨今話題にされることは少なくなりましたが、くも膜下出血の原因と同じ動脈瘤、ただしこちらは微小動脈瘤(マイクロアニュリズム)、が破れて出血するともいわれています(真偽のほどは定かではありません)。出血を起こす誘因はその多くが高血圧です。1965年には、日本人の脳出血死亡率は世界一だったそうで、もちろん脳出血の発症率も相当高かったようです。その後、食塩摂取量を厳格に抑え、高血圧治療がポピュラーに行われるように社会啓蒙が行われて、脳出血は死亡率のみならず、発症率さえも激減したのです。仮に、出血して救急車で搬入されても、血圧を厳格にコントロールすることで血腫の増大を防ぐことができ、手術に至らないケースや穿刺して吸引するだけの手術(定位的血腫吸引術)で済むケースも多くなりました。

脳出血は減ったのか?   
明らかに減りました。でも、減ったはずの脳出血に運悪くあたってしまう人がいます。悔しいですよね。
では、脳出血を予防するには、今どのようにしたらいいのでしょうか?
@高血圧の治療が必須。
A緑黄色野菜や果物を毎日適量摂取する。(適量とはどのくらいだと噛み付かないでください。たくさん食べていいんです。適量とは栄養のバランスを考えてという意味合いです。)
Bγ(ガンマ)GTPの異常が出るほどの過剰な飲酒は控える。このほか、過度の飲酒は血液凝固因子の低下やコレステロールの低下、高血圧をも引き起こします。
C低コレステロール血症と高血圧の合併例は脳出血を起こしやすいというデータがあります。(ただし、低コレステロールを是正して脳出血発症率が減少したというデータはありません、お間違いなく。)

(つづきはまた・・・)
posted by 極楽とんぼ at 15:29| Comment(0) | TrackBack(0) | 医学・健康
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