2012年12月31日

Cilostazol(プレタール)とClopidogrel(プラビックス) : 当院での比較検討(6)おまけ

いろいろ調べて、面白いなと思った「おまけ」をご紹介します。

まず、脳梗塞再発例についてです。
プレタール200mg服用中の脳梗塞発症例 1例
プラビックス75mg服用中の脳梗塞発症例 3例
プレタール:プラビックス=1:3の処方比率でしたから、ほぼ同じ比率の再発率でしょう。

さらに、何らかの理由で抗血小板剤を中断し、その後に再開したところ、そのために再発したと思われる症例が 2例ありました。
1例は、 バイアスピリンを10年間継続、その後半年間抗血小板治療を中断し、プラビックス75mgを開始。3週間後、除雪中に再発。
もう1例は、 プラビックス50mgを継続してあるとき中断してしまい、11ヵ月後にプレタール200mgを開始したところ1ヵ月後に再発。
この2例を経験して以来、「抗血小板治療薬を一時中断して再開した際に脳梗塞の再発のリスクが高くなる(中断している間に新鮮な血栓の形成が促されるため)」のではないかと考えるようになりました。

さらにこんな例も。
抗血小板剤を中断したために再発したと思われる症例(2年間プレタール200mgを継続、4週間の中断のあと発症)。
抗血小板治療が不十分だったと思われる症例(プラビックス25mg、50mg服用例 2例、プレタール100mg服用例 1例)。

脳出血合併例.GIF当院では数少ない脳出血合併例です。
血小板凝集能検査も、血液凝固系検査のINRも、食事やサンプリングのタイミングなどの影響を受けやすく数値の信頼性が乏しいというのが一般的に言われることですが、この2例のように、どんな状況下にあっても、(特に肝疾患などの既往もないにもかかわらず)血小板凝集能が低値を示す人がいるのではないでしょうか?もしそうなら、こういう人への抗血小板治療薬投与は慎重にすべきではないかと思います。

以上、あと少しで年を越すというときにブログを書いておりました。
家族の手伝いとか、ほかにやることがあるだろうって?
実は、今年は喪中なんです。
我が家は、静まり返っています。

・・・
posted by 極楽とんぼ at 15:23| Comment(0) | TrackBack(0) | 医学・健康

Cilostazol(プレタール)とClopidogrel(プラビックス) : 当院での比較検討(5)

Cilostazol(プレタール)   76.9%
Clopidogrel(プラビックス) 38.4%

この2つの数字は、頸部エコーによる頚動脈の「IMTの増加が認められなかった」比率です。
0.1mmの世界で議論してよいなら、この結果は真摯に受け止めなければなりません。
日常診療では、IMTが不変のもの、増加のもの、減少のものが、どちらの薬に偏るということもなく(どっちの薬も似たり寄ったりだなあ)と思うくらいで、あまりにもIMTやプラークが増大している人には、プレタールからプラビックスへ、あるいはプラビックスからプレタールへと薬を変更していた程度でした。
ところが、上記の数値は「プレタールには頸動脈の動脈硬化による血管壁の変化を改善してくれる作用もある」ということを物語っているのです。これは予想外でした。
こうなると、コンマ1ミリの世界が大きい小さいという話ではなく、一介の町医者としては、「(たとえわずかでも)動脈硬化を改善してくれる作用があるならその薬の方を優先する」という心理が働くじゃないですか・・・

さて・・・本当に今回の検討結果を鵜呑みにしてしまってもよいのでしょうか?最初にお話ししたように、僕は、(プレタールって閉塞性動脈硬化症の薬だったのが脳梗塞再発予防の効能追加がされただけの、おまけ的な薬)と思っている医者です。そう簡単には折れませんよ。
(プレタール服用者の、総数も頚部エコー実施者の数も少なすぎるし、血液濃縮、高血圧、糖尿病、高脂血症などのさまざまな患者背景の有無についても一切解析されていないじゃないか・・・)
(そういうなら、そこも自分で検討してみたらいいじゃないか・・・)
(ええっ?数を増やすくらいならできると思うけど・・・多変量解析はいや、絶対いや)
(じゃあ、とりあえず、「こんないい加減な結果ですが、誰か興味ありませんか」って記事を投稿してみるか?)
ということになりました、とさ。

いかがでしょうか?
posted by 極楽とんぼ at 13:32| Comment(0) | TrackBack(0) | 医学・健康

2012年12月30日

Cilostazol(プレタール)とClopidogrel(プラビックス) : 当院での比較検討(4)

2012年10月末までの1年間に継続して 
   Cilostazol(プレタール)服用例     51例
   Clopidogrel(プラビックス)服用例  148例
どちらもCで始まり、どちらも「プ」で始まる・・・わかりづらくてすみません。
プレタール:プラビックス=1:3 になってるのがお分かりでしょうか?
とりあえずこのグループでこれからのお話を進めていきます。
男性と女性の内訳? ・・・調べてません
合併症(糖尿病,高脂血症など)の有無? ・・・考慮してません
最初にこれは学会向け論文ではないとお伝えしたでしょう?
多変量解析は面倒くさいからしていないんです。
それに、思いつきのretrospective study(後ろ向き研究)的なものですから、症例数も偏っています。

この中で、頚動脈エコーでIMT(IMTとは、"Intima Media Thickness"の略で頸動脈の「内膜中膜複合体厚(単位はmm)」を意味します、これで動脈硬化による内膜肥厚がどの程度かを推し量るのです)を測定した症例の、過去1または2年前の数値と今年の数値を比較しました。しかし・・・
内頚動脈でのエコーは解剖学的位置が高い人も多く計測困難な例が多いようで測定値を比較することが困難です。それでも総頚動脈-内頚動脈の分岐部は必死で検索してくれた(臨床検査技師君ありがとう)ようなので、総頚動脈(分岐部を含む)での計測値を参考にすることにしました。

プレタールを1日200mg(100mg2回)服用している患者さん51名中頚動脈エコーを2回以上検査している人は26名でした。早速この26名(26/51=51.0%)のエコーを片っ端から見ていきます。
たとえば・・・
スライド1.GIF頸動脈をこのように縦断面にする方が僕は血管をイメージしやすいのですが、エコーというのはいわば動画ですので、拍動している動脈の輪郭をとらえるには横断面の方が分かりやすいようです。そのため、IMTやプラークの比較は次のスライドのように横断面のエコーで行っています。
スライド2.GIFちなみに、この症例はどちらもIMTが3.0oで、変化を認めなかったということになります。



スライド3.GIF次のこの症例は、IMTが1.6oから1.7oに、わずか0.1oではありますが、増加したことになります。




スライド4.GIFこの症例の場合は、IMTが3.0oから2.9oに減少しています。





スライド5.GIFこの症例の場合も、IMTは2.0oから1.6oに減少しているようです。




こうして、プレタール服用者の頸動脈エコーの結果は

  頸部エコーを2回以上行っている人   26名中
  IMTの増加が疑われた人          5名(19.2%)
  IMTの変化がなかった人        14名(53.8%)
  IMTの減少と判断した人      6名(23.1%)
判定保留               1名(3.8%)

となりました。

こうなると、プラビックス服用者の場合の頸動脈のIMTの変化はどうなのだろうと気になるのが人情というものです。
そうは言うものの、プラビックス服用者の数は148名だというし・・・頚部エコーを行っている人の数も当然多いんだろうと思うと・・・。
いやいや、ここで止めてしまったらただただ時間を無駄にしただけになる・・・ということで、続きを読む
posted by 極楽とんぼ at 19:12| Comment(0) | TrackBack(0) | 医学・健康